高松高等裁判所 昭和28年(う)679号・昭28年(う)680号 判決
被告人四名は孰れも昭和二七年一〇月一日施行の衆議院議員選挙に際し、相共に徳島県より立侯補した岡田勢一の選挙運動者として同県阿波郡方面に於て同侯補者の為選挙運動を為していたところ同様同侯補者の選挙運動者である岡田好一から投票取纏め等の依頼をうけその運動の費用を含めた報酬等として被告人四名に供与するものである情を知りながら被告人頼尾は他の三名を代表して同年九月九日徳島市西船場町一丁目の前記侯補者の事務所(坂田明方)に於て被告人岡田から現金一万円を受取り、同月二日被告人大島は同県麻植郡鴨島町の前記侯補者の事務所(朝倉喜平方)に於て前同様の趣旨のものである情を知りながら他の三名を代表して被告人岡田から現金一万円を受取り、又同月二三日頃被告人の肩書自宅に於て斎藤正徳を介し外に中野亀太郎に渡す五千円を含め前同様の趣旨のものである情を知りながら他の三名を代表して被告人岡田から現金二万円を受取り、以上の金員の中右中野亀太郎に渡すべき五千円を除いた三万五千円を更に前記趣旨に則り被告人頼尾、同大島、同原田、同笠井の四名の間に於て夫々授受を為して分配した事実を認めることができる。従つて右被告人は夫々共同して侯補者岡田勢一の為選挙運動を為したのみならず同被告人等が夫々被告人岡田好一から受取つた金員の中中野亀太郎に対するものを除く三万五千円についてはこれが受取りについて被告人等四名の間に所論の通り共謀があり、被告人岡田も亦被告人等四名が互にこれを分配することを知つてその代表者に夫々これを供与したものであることが明かであり、公職選挙法に所謂選挙運動に於て選挙運動者が候補者その他の選挙運動者からその選挙運動の報酬等として共同で金銭の供与を受けたものが更に相互の間でこの供与された金員を分配授受しても公職選挙法第二二一条各所定の犯罪を構成しないと解するを相当とする原審が前記のように被告人等四名が相被告人岡田好一から供与を受けた前記合計三万五千円について更に事実を認定してこれに同法第二二一条第一項第四号又は第一号に該当するものとして処断したのは明かに理由にくいちがいがあるものと謂はなければならない。